食育

古びたポンコツ食品店が、お洒落なグルメ食品店に勝つ方法

1974年といえば、いまから40年ほど昔のこと。

ハーバード大学のメイヤー教授という人が
「夫を早死にさせる10ヶ条」
というものを全米の大手新聞で発表しました。

内容はこうです。

  1. うんと太らせる
  2. 酒をじゅうぶんに飲ませる
  3. 砂糖・菓子は好きなだけ食べさせる
  4. じっと座らせて、運動不足にさせる
  5. 動物性脂肪をたっぷり取らせる
  6. 塩辛い食事に慣れさせる
  7. コーヒーをガブガブ飲ませる(※)
  8. タバコをどんどん吸わせる
  9. 夜更かしをさせる
  10. 休暇は取らせない

こうすれば夫は早死にするというわけです。

むろん、メイヤー教授は世の夫たちを早死にさせたかったわけではありません。

教授が言いたかったのは、
「この10ヶ条の逆をすることで長生きしよう」
ということでした。

(※ コーヒーについては、じつは健康に良いのではないかという研究もあります)

ここでは、この10ヶ条をビジネスに生かしたエピソードを紹介します。

1. お洒落なグルメ食品店が攻勢をかけてきた!

昔々。

とあるアメリカの田舎町に、小さなショッピング・モールがありました。その一角にこれも小さな、古い食料品店がありました。

食料品店の店主はラリー・サイモンズという名前の、気のいいお爺さんでした。いつもニコニコと接客していましたが、商売のほうは可もなく不可もなく、という感じだったようです。

ある日、食料品店のなんと隣に、「レイモンド・クールマン」という名前の、地産地消タイプのオシャレな自然食品店がオープンしました。

自然食品店のオーナーのレイモンド・クールマン氏は、金融界出身。頭脳明晰、抜け目のない人物です。

彼は、為替ディーラー時代に稼いだお金で、自然食品店を開いたのでした。その勢いで、25歳年下の女性と結婚もしました。

そんな自然食品店の登場に、慌てふためいたのはスーパーマーケットの店主、老サイモンズ氏です。

かたや古ぼけた小さなポンコツ食料品店。

かたやグルメでファッショナブルな今どきの自然食品店。

しかも、売られている自然食品の価格も、それほど高くはありませんでした。

「ふつうの食品店」「自然食品店」という多少の違いがあるとはいえ、隣にライバル店が誕生したのですから、心中おだやかではありません。

いやむしろ、勝負にならないと言ったほうがよいでしょう。

案の定、客足はオシャレな自然食品店のほうになびき、サイモンズ店の売上はがた落ちしました。経済の世界も弱肉強食。

勢いにのった自然食品店側は専門のコンサルタントを雇い、サイモンズ氏の店を潰しにかかります。ネガティブ・キャンペーンを始めたのです。

コンサルタントのアイデアで、「レイモンド・クールマン」の店内あちこちに、こんなポスターが貼られました。

メイヤー教授もうなずく、夫の命を縮める食品ワースト3!

ワースト1位:トランス脂肪酸たっぷり食品

ワースト2位:精製された砂糖たっぷり食品

ワースト3位:塩分たっぷり食品

隣の店と違い、当店にはこんな危ない商品はいっさい置いておりません。

安心して買える店、レイモンド・クールマン!

というポスターでした。

(アメリカは堂々と比較広告をする国ですので、隣の店を誹謗するような表現はよくあります)

それを見たサイモンズ店主は頭を抱えました。

「ウチの商品はここに書かれているような、危ないのばっかりだ…。どうしよう」

2. はたして、古ぼけた小さなポンコツ食料品店は生き残れるのか?

半年後…。

ラリー・サイモンズ氏の食料品店は、意外なことに、まだ潰れずに生き残っています。それどころか、以前より繁盛しているようにさえ見えました。

「おかしいな」

首をかしげたのはグルメ自然食品店のオーナー、レイモンド・クールマン氏でした。

コンサルタントの発案したあのポスターを貼って以来、来客が増え、自然食品店の売上は確かにアップしていました。

ポスターによるキャンペーンは、ちゃんと成功したわけです。なのに、隣の古ぼけた店が潰れずに繁盛しているのは、どうも解せません。

「お互い、うまくいっているなら、それでいいじゃないか。両者繁盛で、めでたしめでたし」多くの人はそう思うのでしょう。

しかし、生き馬の目を抜く金融界で戦ってきたクールマン氏は、それでは満足できませんでした。

「相手を倒すこと」

に、執着し続けたのです。

サイモンズ店が生き残っていることに我慢がならないクールマン氏は、今度はコンサルタントに調査を頼むことにしました。

隣のポンコツ店がなぜ繁盛しているのか、なぜこちらのキャンペーンで潰れないのか、原因を探れ、というものです。

数日後、女装したコンサルタントがクールマン氏の前に現れました。

「クールマンさん、隣が繁盛している原因が分かりましたよ」

クールマン氏は目をまるくします。
「ちょっと待て。その前に聞きたいことがある。なぜきみは女装してるんだ? その毛深い足でミニスカートは、頼むからやめてくれ」

「女装してはじめて分かったんですよ、クールマンさん」
コンサルタントは平然と答えました。
「…隣のサイモンズ爺さんですがね、男性客には何も渡さないのですが、女性客にはこんなチラシをこっそり渡していたんです。繁盛の理由は、このチラシですな」

コンサルタントは手に持っていたチラシを、クールマン氏に見せました。

それにはこう書いてありました。

隣の自然食品店に置いていない「不健康食品」をお探しの奥さん、当店でどうぞ! メイヤー教授も当店も、秘密は守りますよ!

「もうひとつ報告があります、クールマンさん」
コンサルタントは続けました。
「あなたの若奥さんですがね、サイモンズ爺さんのところで山のように買い物してましたよ」

 

食育総研

吉村司 吉岡岳彦

無料PDF|コミュニケーションガイド~生産者と仲良くなるために最初に読む本~

農業に興味のある方、食育の事業化に興味のある方、海外の食育・食農情報に興味のある方に生産者と仲良くなるための方法を解説していきます。

「知っておくと農家との会話がテンポよく弾む」

そんな知識や話題を、ガイドブックの形にまとめてあります。

農家との交流の際に活用してください。

サンプル

期間限定:無料

吉岡岳彦

投稿者の記事一覧

『食農の知りたい!』では、食育・農業の知識、農業法人の設立から食の最新情報まで勘所を押さえた情報を発信しています。

関連記事

  1. 『食農の知りたい』が考える食農とは? 
  2. エコ・ロハス型の食育活動とは
  3. 食品偽装について、生活者が知っておくべき6つのこと
  4. 日本にも誕生するかも?海外の変わった4つの料理教室
  5. 農業活性化型の食育活動とは
  6. お肉の本をベジタリアン(ビーガン)が買う
  7. 2018年 最新「食の展示会」「フード・エキスポ」情報の一覧とす…
  8. 「株式会社 食育」に就職した若者の顛末

最近の投稿

PAGE TOP