農業

株式会社で農業法人を設立する際の定款のひな形

農業法人とは、法人として農業を営む形態のことです。

平たく言えば、農家ではなく、企業として農業を行うことになります。

農家は個人事業主です。農業法人は会社です。

農業法人を設立するには、会社を設立する時と同様に「定款」を作成しなければなりません。定款は公証役場で認定され、その後、法務局に申請する必要があります。

ここでは、株式会社で農業を行う際に必要な「定款」の書き方について、お伝えしていきます。

1. 株式会社で農業を行うメリット

株式会社が農業法人を設立するメリットは、おもに3つです。

1-1. 節税のメリット

まずは、節税効果など、経営上のメリットがあります。株式会社にすることで、経費として計上できることが増え、結果として節税対策になります。

例えば、農家では自分の給料を経費として計上できませんが、株式会社では可能です。これは大きな節税効果となります。

1-2. 社会的信用のメリット

株式会社にすることで、財務諸表を記し、しっかり決算するようになります。その結果、社会的な信用がつきます。信用がつけば、金融機関からの借り入れの際に、有利になります。取引先との交渉も向上します。

1-3. 相続のメリット

農家では身内にしか相続できません。ところが、株式会社ではその構成員や役員などが継承することができます。そうすることで、後継者問題の解決になります。

2. 定款のひな形

株式会社×××× 定款

第1章 総 則

(商号)

第1条 当会社は、株式会社××××と称する。

(目的)

第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。

  1. ○○○(農畜産物)の生産販売
  2. ○○○(農畜産物)を原材料とする
  3. ○○○(食料品)の製造販売
  4. ○○○(農畜産物)の貯蔵、運搬及び販売
  5. ○○○(農業生産に必要な資材)の製造販売
  6. 農作業の受託
  7. 前各号に附帯関連する一切の事業

(本店の所在地)

第3条 当会社は、本店を北海道札幌市‥に置く。

(公告の方法)

第4条 当会社の公告は、官報に掲載して行う。

第2章 株 式

(発行可能株式総数)

第5条 当会社が発行することができる株式の総数は、1,000株とする。

(株券の不発行)

第6条 当会社の株式については、株券を発行しない。

(株式の譲渡制限)

第7条 当会社の発行する株式は、すべて譲渡制限株式とし、これを譲渡によって取得するには、代表取締役の承認を受けなければならない。ただし、当会社の株主に譲渡する場合は承認があったものとみなす。

(株式の相続人等に対する売渡請求)

第8条 当会社は、相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。

(株主名簿記載請求)

第9条 株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載することを請求するには、当会社所定の書式による請求書に、その取得した株式の株主として株主名簿に記載又は記録された者又はその相続人その他の一般承継人及び株式取得者が記名押印し、共同で申請しなければならない。ただし、会社法施行規則22条1項各号で定めるところにより、株式を取得した者が単独で請求できる場合には、この限りではない。

(質権の登録及び信託財産の表示)

第10条 当会社の株式につき質権の登録又は信託財産の表示を請求するには、当会社所定の書式による請求書に当事者が署名又は記名押印して提出しなければならない。その登録又は表示の抹消についても同様とする。

(手数料)

第11条 前2条に定める請求をする場合には、当会社所定の手数料を支払わなければならない。

(株主の住所等の届出)

第12条 株主及び登録株式質権者又はその法定代理人若しくは代表者は、当会社所定の書式により、その氏名、住所及び印鑑を当会社に届け出なければならない。これらを変更した場合も同様とする。

2 当会社に提出する書類には、前項により届け出た印鑑を用いなければならない。

(基準日)

第13条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することのできる株主とする。

2 前項のほか、株主又は登録株式質権者として権利を行使すべき者を確定するために必要があるときは、予め公告してそのための基準日を定めることができる。

第3章 株主総会

(招集)

第14条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度終了後3か月以内に招集し、臨時株主総会は、随時必要に応じて招集する。

(招集通知)

第15条 株主総会を招集するには、会日より1週間前までに、議決権を有する各株主に対して招集通知を発するものとする。ただし、総株主の同意があるときはこの限りではない。

2 前項の招集通知は、書面ですることを要しない。

(招集権者及び議長)

第16条 株主総会は取締役社長がこれを招集し、その議長となる。

2 取締役社長に事故若しくは支障があるときは、予め取締役の過半数をもって定めた順位により、他の取締役がこれに代わる。

(決議の方法)

第17条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。

2 会社法309条2項の定めによるべき決議は,議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し,その議決権の3分の2以上をもって行う。

(議決権の代理行使)

第18条 株主は、代理人をもってその議決権を行使することができる。この場合には、総会ごとに代理権を証する書面を提出しなければならない。

2 前項の代理人は、株主であることを要する。

(総会議事録)

第19条 株主総会における議事の経過の要領及びその結果並びにその他会社法施行規則72条に定める事項は、議事録に記載又は記録し、議長及び出席した取締役がこれに記名押印又は電子署名をし、10年間本店に備え置く。

第4章 取締役

(取締役の員数)

第20条 当会社には、取締役1名以上を置くものとする。

(取締役の選任及び解任)

第21条 取締役の選任及び解任は、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の過半数の決議をもって行う。

2  前項の選任については、累積投票の方法によらないものとする。

(取締役の任期)

第22条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時までとする。

2 補欠又は増員により選任した取締役の任期は、その選任時に在任する取締役の任期の満了すべき時までとする。

(代表取締役及び社長)

第23条 取締役が2名以上ある場合は、取締役の互選によりそのうち1名を代表取締役とする。

2 代表取締役を社長とし、会社の業務を執行する。

(取締役の報酬等)

第24条 取締役の報酬、賞与及びその他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益については、株主総会の決議によって定める。

第5章 計 算

(事業年度)

第25条 当会社の事業年度は、毎年○月○日から翌年△月△△日までの年1期とする。

(剰余金の配当)

第26条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載又は記録された株主及び登録株式質権者に対して支払う。

2 前項に定める場合のほか、当会社は、基準日を定め、その最終の株主名簿に記載又は記録ある株主等に対して、剰余金の配当を行うことができる。

(配当金の除斥期間)

第27条 剰余金の配当金が、支払いの提供をした日から3年を経過しても受領されないときは、当会社は、その支払いの義務を免れるものとする。

第6章 附 則

(設立に際して発行する株式)

第28条 当会社の設立に際して発行する株式の数は100株とし、その発行価額は1株につき金1万円とする。

(設立に際して出資される財産の価額又はその最低額)

第29条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は金100万円とする。

(最初の事業年度)

第30条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から平成○○年△月△△日までとする。

(設立時取締役及び設立時代表取締役)

第31条 当会社の設立時取締役、設立時代表取締役は、次のとおりとする。

東京都港区…
設立時取締役    ○○ ○○

東京都港区…
設立時代表取締役  ○○ ○○

(発起人の氏名、住所、割当を受ける株式数及びその払込金額)

第32条 発起人の氏名、住所、発起人が割り当てを受ける株式数及び払込金は、次のとおりである。

東京都港区…
○○ ○○

89株   金200万円

東京都港区…
○○ ○○

11株   金100万円

(定款に定めのない事項)

第33条 本定款に定めのない事項は、すべて会社法その他の法令に従う。

以上、株式会社××××を設立するため、この定款を作成し、発起人が次に記名押印する。

平成○○年○○月○○日

発起人   ○○ ○○   ㊞

発起人   ○○ ○○   ㊞

3. まとめ

会社を設立した経験のある方は、一般の会社の定款とほとんど変わらないと感じられるかもしれません。実際に、事業目的に農業に係わる事業が掲げられていることと、株式の譲渡制限の規定が設けられていることが異なる点で、さほど特殊な条項はありません。

農家から株式会社にすることで、社会的な信用をつけながら、相続などの面からも自分の土地を守っていけるなどメリットを鑑みて、有効活用されることをお勧めします。

 

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