農業

農業法人を設立するための要件(農地所有適格法人)

農業法人とは、それまで農家という家業で営む枠組みから、農業を会社で行う形態を採用するにあたって与えられた法人格のことをいいます。

農業法人の出現によって、これまでは相続以外では農業を行うことができませんでしたが、農業の知識やノウハウ、そして土地があれば、誰でも農業を営むことができるように緩和されました。

そして、会社で経営することにより、農業の多角化についてなど、多くのメリットが生まれました。

そこで、農業法人の設立について、その要件や正しい手順をご紹介します。

 

1. 農業法人とは

農業法人とは、農業を事業目的とする法人の総称です。

農畜産物の生産や加工・販売など、農業に関連する事業を行う法人のことをいいます。

日本には、法人という形態はたくさんあります。それぞれ制度化されています。

学校法人や宗教法人などの「公益法人」、病院やクリニックなどの「医療法人」、協会などの人の集合体の「社団法人」、お金の集合体の「財団法人」、株式会社や合同会社などの「営利法人」、協同組合や労働組合などの「中間法人」などに分類されます。

農業法人は、大きく2つに分類されます。「会社法人」と「農事組合法人」です。

ただし、これは学校法人や医療法人と違って法的に定められた名前でなく、農業を行う法人に任意で使われています。

 

1-1. 農業法人の分類

農業法人とは、簡単に言えば、法人の形態をとって農業を行うことです。

農業法人は、大きく2つに分けられます。「会社法人」と「農事組合法人」です。

会社法人は、合同会社、合名会社、合資会社、株式会社の4つの法人で可能です。

農業を行う農事組合法人と会社法人の4つの形態を総称して、「農業生産法人」と分類します。

 

1-2. 農地所有適格法人

平成28年4月1日に施行された『改正農地法』により、「農業生産法人」は「農地所有適格法人」に変更となりましたので、ご注意ください。

そして、その要件も緩和されました。

農業法人のなかで、農地法第2条第3項の要件に適合し、農業経営を行うために農地を取得できる農業法人のことを「農地所有適格法人」と呼びます。

農地所有適格法人の要件は、次の4つになります。

・ 法人形態要件

・ 事業要件

・ 議決権要件

・ 役員要件

会社が農業を営む際に、農地を所有、または売買する場合には、必ず上記の要件を満たす必要があります。

これを通称「2号法人」と言います。

 

1-3. 農地所有適格法人でない農業法人

農地を利用しないで農業を営む法人や、農地を借りて農業を営む法人は、農地所有適格法人の要件を満たす必要はありません。

この場合、共同利用施設等の設置を行う法人となり、「1号法人」と呼ばれます。

 

2. 農業法人の要件

まずは、農業法人になるための要件を確認していきましょう。

 

2-1. 法人の要件

農地所有適格法人となることができるのは、以下の3つに限定されています。

・ 株式会社(株式譲渡制限会社)

・ 持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)

・ 農事組合法人(2号法人に限る)

 

2-2. 事業要件

農地所有適格法人の事業の要件は、主たる事業が農業と関連事業(法人の農業と関連する農産物の加工販売などです。

直近の3年は、農業の売上高が過半をしめていることが要件になります。

新規の場合は、今後3年の事業計画から判断されます。

 

2-3. 構成員の要件

構成員とは、法人を組織している出資者のことです。

会社法人では、株主や社員、農事組合法人では組合員のことです。

構成員の要件は、その法人の構成員の全員が以下のいずれかに該当する必要があります。

① 農地または採草放牧地の所有権を移転するか、または賃借権等の使用収益権を設定・移転することにより、その法人に農地または採草放牧地を提供した個人

② 法人の農業(農業関連事業を含む)の常時従事者

原則として年間150日以上

③ 現物出資を行った農地保有合理化法人 、地方公共団体、農業協同組合、農業協同組合連合会

④ 法人に農作業の委託を行っている農家

⑤ 農業法人投資育成会社

⑥ 継続的取引関係を有する者

『改正農地法』により、農業生産法人への出資について、1構成員当たりの出資制限10分の1を廃止し、4分の1以下までの出資が可能になりました。

農商工連携事業者など一定の者については、2分の1未満まで可能になりました。

 

2-4. 業務執行役員(経営責任者)の要件

農業生産法人の役員の要件は、農業生産法人の業務執行役員の過半数が法人の農業や関連事業に常時従事する構成員であること。

あるいは、役員の過半数が年間60日以上の農作業に従事することとされています。(従事日数には特例があります。)

 

3. まとめ

農業法人を設立するには、まずはじめにどのような法人形態にするのかを決める必要があります。

家族による農家を法人化する場合には、株式会社の設立が一般的です。

最近では、合同会社での設立も増えてきています。

仲間と一緒に農業での夢を叶えるために法人化を目指す場合や、一定の地域内の農家が農業生産を共同して行う「集落営農」を法人化する場合には、農事組合法人も選択肢に含まれるでしょう。

農地所有適格法人の要件は、農地を取得申請する際だけでなく、農地の権利を取得した後も、継続して満たしていなければいけません。

農地所有適格法人は、毎事業年度の終了後3か月以内に、農業委員会へ事業状況の報告を義務づけられています。毎年の報告をしなかったり、虚偽の申告をした場合には、30万円以下の罰金が課せられます。

設立した法人が上記の要件を満たしていない場合、または将来的に要件を満たせなくなる恐れがある場合は、農地を所有することができなくなります。

事業計画を作成する際には、十分お気をつけてください。

すでに農業を営んでいる方は、法人を立ち上げるや家族や仲間とともにビジョンを十分に話し合い、長期的な視点をもって、法人の形態を選択されると良いでしょう。

 

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