食育

食育の仕事をしたい人が最初に読むコラム【食の問題と食育活動のすべて】

昨今、よく耳にする「食育」。食育活動と言っても、その内容はさまざまです。

食事の意味や料理方法を教えて、より良い食事を楽しんでもらう活動もあります。
社会問題について論じたり、解決策を講じたりすることもあります。
ツアーで農家を訪れ、地域活性の一助を担うこともあります。

食育とは、さまざまな食に関する経験を通じて、食の知識や食の選び方を学ぶことを指します。
自ら実践した経験を通じて、正しい食生活を送ることができる人を育てることです。

ここでは、食育をテーマにして仕事をしたい人のために、今日本が抱える食をめぐる問題と最新の食育活動のパターンについて、紹介していきます。

 

1. 食育とは

食育とは、さまざまな経験を通じて、「食」に関する知識と選択する力を学ぶことです。そして、正しい食生活を送る人を育てることです。

食育という言葉は、明治時代に、石塚左玄医学博士がはじめて使った言葉のようです。連載小説『食養道』で、「小児には、徳育よりも、知育よりも、体育よりも、食育が先。体育、徳育の根源も食育にある」としています。身体を育てるのも、心を育てるのも、頭を育てるのも、まず食事から、ということです。

1-1. 食育の定義

農林水産省では、「食育」の定義を次のように定めています。

食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。

農林水産省は、健康で文化的な国民の生活と豊かで活力のある社会の実現に寄与することを目的として、食育の推進に関する施策を総合的かつ計画的な実施を担う官庁として、関係各省と連携・ 協力して、積極的に取り組んでまいります。

農林水産省のサイトより抜粋

1-2. 食育基本法からみる食育とは

2005年に、『食育基本法』が施行されました。不規則な食事の時間や栄養の偏りなどにより、身体だけではなく、心の健全さが失われている問題に対して、家庭や保育園、幼稚園、学校、または地域全体での食育推進を掲げるために制定された法律になります。

食育はとても生活に密着しているものなので、心と体の基礎をつくり、生活の習慣が身につく幼児期に、特に大切にしたい教育です。具体的には、次のようなことになります。

・ 食生活の習慣やマナーを正しく身につけること

・ 心身ともに健康でいられる食事について考えること

・ 農業や水産業と食についての関わりや意味を知ること

・ 古くから日本にある食文化について知ること

・ 幼児期のうちに、食べることに対して興味をもつこと

・ 家族や友だちと楽しく食事をすること

 

2. 食をめぐる10の問題

 

食をめぐる現状には、次のような問題があります。このような問題に取り組むことが食育活動になります。

2-1. 食を大切にする心の欠如の問題

日本の食品廃棄量は、世界のトップクラス。

2-2. 栄養バランスの偏った食事の問題

ファストフードやコンビニ食など「食の欧米化」によって偏った食事をしている問題のこと。

2-3. 不規則な食事の増加

生活習慣によって不定期な食事の時間になっている問題のこと。

2-4. 孤食、個食、小食、粉食の問題

共働きや残業などによって、家族団欒の時間がなくなってきている問題のこと。

2-5. 肥満の増加

糖質(炭水化物)の摂取量過多と運動不足による問題のこと。

2-6. 生活習慣病の増加

「食の欧米化」によって、カロリー食が中心になり、生活習慣病のリスクが上がってる問題のこと。

2-7. 過度のダイエット志向の問題

糖質制限や単一食材の摂取などで過度のダイエットを行なっている問題のこと。

2-8. 食の安全の問題

生産・製造過程の透明化や成分表示などの明確化などが重要。

2-9. 海外への依存の問題

日本は自給率は、先進国でワーストクラス。

2-10. 伝統ある食文化の喪失

「食の欧米化」などによって、和食の文化が失われつつある問題のこと。

 

3. 食育活動の8パターン

食育活動は、大きく分けると8つに分類できます。上記の10の問題を解決するための活動になります。

3-1. 健康増進型・栄養学型

 

健康増進型・栄養学型の食育活動とは、主に、健康でいるための食事方法を世の中に伝えていく活動になります。自分自身で伝えていく方法、専門家を紹介する方法など、健康でいるための食生活の疑問などに答えていく活動になります。

健康増進型・栄養学型食育活動の詳細に関しては、『健康増進型・栄養学型の食育活動とは』を参照にしてください。

 

3-2. 食の安心・安全型

 

食の安心・安全型の食育活動は、大規模に取り組むことが多いです。個人として取り組むケースはあまり見かけず、専門的な知識を求められる難しいテーマになります。このテーマで個人として活動するのであれば、『食の安心・安全について啓蒙』という講座を開くスタイルが適当でしょう。

食の安心・安全型食育活動の詳細に関しては、『食の安心・安全型の食育活動とは』を参照にしてください。

 

3-3. 食文化見直し型・地域活性化型

 

食文化見直し型・地域活性化型の食育活動は、地域の伝統食材や食文化にスポットを当てて活動します。地域の伝統食材は、都心に向けてPRや販売します。地域の食文化は、それを観光資源とします。
ただし、人気のテーマになるため、自分の強みを生かし、独自の切り口で企画・提案して、競合との差別化をはかることが必至です。

食文化見直し型・地域活性化型食育活動の詳細に関しては、『食文化見直し型・地域活性化型の食育活動とは』を参照にしてください。

 

3-4. 社会問題型

 

社会問題型の食育活動は、食育に絡んだ社会情勢や背景を話したり、教えたりすることが主な活動になります。
理系の専門知識は必要としないけれども、政治や経済などの知識が求められます。

社会問題型食育活動の詳細に関しては、『社会問題型の食育活動とは』を参照にしてください。

 

3-5. 付加価値料理教室型

 

付加価値料理教室型の食育活動は、料理教室に新奇性を持たせて食育活動をします。魅せ方を少し変えて、魅力的な料理教室をつくってください。他業種でやっているアイデアや発想を借りてヒントにしてください。

付加価値料理教室型食育活動の詳細に関しては、『付加価値料理教室型の食育活動とは』を参照にしてください。

 

3-6. エコ・ロハス型

 

食に関する情報誌などから情報を得て、ピンときた食育活動を見つけたら、 チャレンジしてみてください。
新しい活動は、希少性がありメディア価値が高く、取材の対象にもなりやすいものです。うまくいけば、瞬く間に知名度が上がります。

エコ・ロハス型食育活動の詳細に関しては、『エコ・ロハス型の食育活動とは』を参照にしてください。

 

3-7. 農業活性化型

 

農業活性化型の食育活動は、作物の販売促進をサポートする活動や農業ファンを増やす活動です。
農業が儲かる分野であることを実証する活動をして、農業に参入したい人や企業を増やすサポートをします。

農業活性化型食育活動の詳細に関しては、『農業活性化型の食育活動とは』を参照にしてください。

 

3-8. レシピ活用型

 

レシピ活用型の食育活動は、レシピを売ることです。しかし、有名な料理家は高くレシピが売れるのですが、そうでなければ無料に近いものになります。したがって、レシピ本を出版したい夢を抱いても、なかなか達成できないジレンマに陥ることがあります。
そこで、発想を思い切って転換してみて、レシピを提供するプラットフォームを作り、運営する側にまわるなどをおすすめします。そして後発のレシピサイトになるので、そこに新奇性を持たせる工夫や、単純にレシピを生活者に売るというものでない仕組みを作るといいでしょう。

レシピ活用型食育活動の詳細に関しては、『レシピ活用型の食育活動とは』を参照にしてください。

 

4. 家庭における子どもへの食育について

 

最後になりましたが、食育活動は、まずは家庭でできることからはじめてみましょう。子どもに食への興味をもたせることを第一に、そして、食の喜びや大切さを一緒に感じることが大切です。

4-1. 子どもと「買う」

子どもと一緒に八百屋さんやスーパーへ行って、食材を説明しながら買いものをしましょう。いつも食べているお料理がどんなお野菜やお肉できているのかを学ばせます。

同時に、栄養や産地なども教えてあげましょう。

4-2. 子どもと「育てる」

お庭や屋上、ベランダのスペースを使って、家庭菜園を行いましょう。

家庭菜園で野菜を育て、収穫する楽しみを体感することは大切です。プランターで作るミニ菜園でも結構です。育つ過程を見ることで、食材を大切にする気持ちが養われます。また、土いじりは「ゼロ体験」となり、子どもの発達や成長に大きなプラスの役割を果たします。

4-3. 子どもと「料理する」

子どもにお料理の手伝いをしてもらいましょう。手伝いを通じて、食材を大切にする気持ちが芽生えます。遊び感覚で食材に触れることからで結構です。料理することで、自分で作ったという満足感が得られます。

4-4. 子どもと「食べる」

家族が揃って食事をする習慣をつけてあげましょう。食事を通じて、マナーなども学べます。食事中は家族で会話をすることを心掛けましょう。

 

5. まとめ

食育とは、さまざまな食に関する経験を通じて、正しい食の知識と選択する力を学び、養うことです。そして、自らの経験をもとに、一人ひとりが正しい食生活を送れる人を育てることです。

社会が多様化している昨今、さまざまな食に関する問題が発生しています。私たち一人ひとりが食に関して成熟していくことで、問題を発生させない、あるいは沈静化させることができることでしょう。

 

食育総研

吉村司 吉岡岳彦

 

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吉岡岳彦

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