農業

企業の農業参入は農業事業部を立ち上げるといい

農業改革によって、人や企業が農業に参入しやすくなりました。

ここでは、企業が社内に農業事業部を立ち上げて、農業に参入する際のメンタリティや方法などについてみていきたいと思います。

1. 農業事業に参入する方法

企業が農業事業に参入する際には、新たに農業法人を立ち上げて参入します。

これまでは家業が農家でないと農業ができなかったのですが、農業改革によって、ある条件をクリアできれば、どんな企業も人も農業事業に参入できるようになりました。

あるいは、新たに農業法人を立ち上げなくとも、今の法人に農業事業部を立ち上げて、ある一定の条件を満たせば、農業に参入することもできます。

 

2. 「農業を始めた」と言えるのはいつから?

何をもって、農業を始めたと言えるのでしょうか?

  • 農地を確保したとき
  • 農地を耕したとき
  • 農作物の種を播いたとき
  • 農作物の芽が出てきたと
  • 農作物を収穫したとき

どれも農業をスタートさせたことにふさわしいのですが、ここでは「農地を確保したとき」を農業事業の開始とさせていただきます。

 

3. 農地を確保する

3-1. 農地を確保する手順

一般の企業が農業事業に参入する際には、まず農地の賃借契約を地権者と交わします。

そして、地元の農業委員会にて承認されることにより、企業の農業参入が認められます。

定款には必ず、「農産物生産、販売に関する事業」の文言を付け加える必要があります。

このようないくつかの規定をクリアすれば、晴れて農業事業者の仲間入りとなります。

 

3-2. 農地を確保する条件

会社名義で農地を購入する場合を除いては、一人の取締役が150日以上の農業事業(経営管理業務を含む)に従事していれば良いとされています。

そして、認定農業者への申請が認められれば、行政が行う補助事業や助成金、補助金交付の対象にもなります。

 

3-3. 農地の選定

農地の選定は、事務手続きよりも大事です。農業で一番大事なことです。

 

3-3-1. レストランを出店するならば

飲食事業を展開する際、例えば、都内にレストランを出店しようとすると、立地や店舗選びに慎重になると思います。

人の流れや店舗周辺の環境を入念に調べます。店舗の外装・内装には事細かにこだわります。もし居抜き物件ならば、店舗の状態を確認します。良い物件を探そうと、靴底をすり減らすこととだと思います。

そして、事業を開始するときには、必ず事業計画を練り、利益をどう出そうか計画します。

農業も同じです。お金を生み出す一番の元の農地選びは、じっくりと時間をかける必要があります。

 

3-3-2. 耕作放棄地は避ける

慌てて行政から勧められた耕作放棄地に安易に手を出してはいけません。

耕作放棄地とは、農家が耕作を放棄したところです。

農家が放棄したからにはそれなりの理由があります。その農地で農産物がたくさん取れていたら放棄しないでしょうから。

 

4. 土をつくる

農業に参入している企業の80%が、土づくりに苦しんでいます。

農作物を育てる前の土づくりに1年以上費やしているというケースもあります。

 

4-1. 優良農地の定義

優良農地の定義は以下の通りです。

水はけが良い:

雨上がり30分以内で水がはける

日当たりが良い:

影がかかる障害物がない

雑草が少ない:

雑草が少ない方が農場を管理しやすい

1年前まで耕作されていた:

2年以上放棄された農地は修復に時間がかかる

農地に入ると足跡が付く:

踏み入れた時に足が沈むくらい柔らかい土が理想

 

5. 売れるものをつくる

これからの農業は、農地があるから農業をするとか、何がこの地域の特産物か、という従来の発想で始める農業はすぐに潰れてしまいます。これからの農業は、売れるものをつくる時代です。どこの店でも似たり寄ったりの商品を並べても、儲かる事業にはならない場合がほとんどです。

 

6. 失敗しない事業計画の立て方

企業は商品・サービスと営業の両輪で事業を行います。これは農業も同じことが言えます。

 

6-1. 失敗しない商品力

失敗しない商品力とは、農産物を生産する力のことです。

しかし、農産物は人がつくるのではありません。土と太陽の恵と水によって育ちます。人が及ぼせる力は、その自然の恵みの恩恵を最大限受けられるように環境を整えてあげることです。

立派な温室を建てても、立派な農業機械やシステムを導入しても、そもそもの農作物を生み出す力が農地になければ、農業は成功しません。

 

6-2. 失敗しない営業力

農業の営業力とは、取引先や消費者から求められている農作物を知る力のことです。

以下は、営業の手順です。

  • 取引ターゲットを絞り込む
  • ターゲットの要望を知る、理解する
  • 要望される農産物を選定する
  • 選定した農産物に適した農地を選定する
  • 農地を確保する

7. 農業事業を任せられる人

農業事業を立ち上げる際に悩ましいのが、人の問題です。農業全体で、慢性的な人材不足が起こっています。農業事業部立ち上げの場合には、農業をやったことない会社で誰に新規事業を任せるか、ということになります。

 

7-1. 農業経験者を抜擢しないほうがいい

農業をしたことのない会社で農業事業を任せる際に、しばしば農業経験者を抜擢することがあります。しかし、これからの農業を考えたときに、過去の方法だけを知っている者に任すと、新しい農業の発想が出てこないケースがあります。それでは、新しいマーケットに通用しなくなります。

何かしらの新しいプロジェクトで成功した実績のある人材の方が、斬新な切り口で農業を捉えることができます。そういった人材をを登用してください。

 

7-2. 農業は事業である

農業は、あくまでも事業です。農産物を作ることに間違いはありませんが、それはビジネスとしてお金が入ってくる仕組みを構築することです。ビジネスセンスのある人が、これからの農業を牽引します。

 

8. 農業のキャッシュポイント

農業に新規参入といっても、すぐに利益を出さなければ継続できなくなります。

ビジネスを考える上で、その事業で利益を出すためのキャッシュポイントをしっかり押さえることが必要です。

 

8-1. 農業のキャッシュポイント

農業事業のキャッシュポイントは品目によって異なりますが、収穫と播種(植え付け)がポイントとなります。

 

8-2. 高く売るよりも、安く生産する

一般的な農産物を生産する際には、高く売ることよりも、安く生産することに務めたほうが利益は出やすくなります。

 

8-2-1. 低コスト生産

低コスト生産にフォーカスすると利益が出やすくなります。

ここで気をつけなければならないのが、コストを落とした結果、品質も落としてしますことです。それでは本末転倒です。

コストを抑える最大の方法は、人件費を抑えることです。

そのポイントが、植え付けと収穫時期にかかる人件費です。

農産物の生育期間は、農地が育ててくれ、人件費はさほどかかりません。無駄な投資をしない限り、経費はかかりません。

 

9. まとめ

農業事業は軌道に乗るまでに時間がかかります。最短で事業を成功に導くには農地選定に時間を費やすことが結果的に近道になるようです。

農業事業に参入した企業はこれからも増えていくでしょう。これまでの日本の農業は、農家の農家による農家のための農業でした。これからの農業は、新規性ある事業モデルを取り入れた新しい農業になることでしょう。

 

食育総研

吉村司 吉岡岳彦

 

無料PDF|コミュニケーションガイド~生産者と仲良くなるために最初に読む本~

農業に興味のある方、食育の事業化に興味のある方、海外の食育・食農情報に興味のある方に生産者と仲良くなるための方法を解説していきます。

「知っておくと農家との会話がテンポよく弾む」

そんな知識や話題を、ガイドブックの形にまとめてあります。

農家との交流の際に活用してください。

サンプル

期間限定:無料

吉岡岳彦

投稿者の記事一覧

『食農の知りたい!』では、食育・農業の知識、農業法人の設立から食の最新情報まで勘所を押さえた情報を発信しています。

関連記事

  1. 2018年 最新「食の展示会」「フード・エキスポ」情報の一覧とす…
  2. ファーマーズ・ビジネス・ネットワーク(Farmers Busin…
  3. 農家の事業継承で後継者が成功するために準備すること
  4. 農業法人を設立するための要件(農地所有適格法人)
  5. 「オーガニック」と「ナチュラル」「無農薬野菜」「有機栽培」の違い…
  6. 農業のための土づくりについて
  7. 農業をする際に役立つ資格一覧と内容のすべて
  8. 農事組合法人で農業法人を設立する際の定款のひな形

最近の投稿

PAGE TOP