ロボットと話ができるようになるというのは遠い未来の話と思っていたら、今は現実の話。もう間もなくすると、あらゆる生活シーンで、ロボット(AI)の手を借りることになるようです。
それは農業に関しても言えることで、先進国はアグリ・ビジネスにロボット技術を導入する動きが出てきています。
ここでは、ロボットがトマトの収穫をする、という話を紹介したいと思います。
この記事でわかること
1. 農業にロボットを導入するメリット
自動車工場の工程で見るアームロボット。ロボットが腕を伸ばして、素早く、極めて精巧に、長時間、仕事をし続けます。
これと同じように、トマトの収穫をして、いらない葉を取り除くこともします。
ロボットが農業をする時代はずいぶん未来の話と思っていたかもしれませんが、今や現実になったわけです。
1-1. 高温多湿のビニルハウスでも、仕事の質と量が落ちない
高温多湿な条件が多いビニルハウス内でも、ロボットは疲れ知らずで、24時間働いてくれます。そして、作業効率が落ちません。
1-2. AIが先を予測し、自動調整する
AIがビニルハウス内を常に監視しています。
AIの発達によって、今や作物の病気の発生を予測することができます。
また、かん水量を自動調節して、高糖度のトマトを栽培するもできます。
2. 農業をするさまざまなロボット
農業のさまざまなシーンで活躍するロボットがあります。
2-1. 接ぎ木ロボット
接ぎ木は、穂木と台木をつないでクリップで留めるという細かい作業が求められます。そのような細かな作業にはロボットは最適です。台木をトレイにセットすれば、あとはロボットが穂木の苗を受け取り、根を切断し、台木に留めてくれます。
人の手作業では、1時間100本程度ですが、ロボットは1時間で1,000本程度可能ということで、疲れ知らずで10倍の作業量となります。
2-2. 収穫ロボット
現在、パナソニックで開発が進んでいるロボットは、1時間に360個のミニトマトを収穫できます。
収穫適期の果実だけを見分けて、アームを伸ばしてミニトマトをもぎ取ります。
パナソニックのウェブサイトより転載
http://news.panasonic.com/jp/stories/2016/45398.html
2-3. 選別ロボット
収穫後には、出荷できない傷んだミニトマトを取り除く選別作業があります。
選別ロボットは傷んだトマトをセンサーで検知し、廃棄します。
その能力は、人の目では分からない内部の腐敗も、透視して見逃しません。
2-4. 葉かき・芽かきロボット
葉かき・芽かきとは、長期的に収穫が続く際、収穫が終わった段から下葉を取り除く作業があります。
Priva社(オランダ製)が開発したロボットは、自ら通路を移動し、腕の先端に付いたカメラで下葉を見つけては、腕を伸ばしてはさみで切り落とす作業を行います。
もちろん、果実が付いている葉は切りません。
2-5. 運搬ロボット
Doog社が発売した「サウザー」は、最大100kgの運搬を手助けしてくれます。
障害物を避けながら、後ろを着いてきてくれます。
3. まとめ
現在では、まだ100%ロボットの自動化はできません。人の手が介入する工程があります。ロボットが働きやすい環境を作ることで、人にとって負担の少ない農業ができるようになります。
高齢化や人手不足などで、日本の農業環境は厳しくなっています。そういったなかで、ロボットをうまく活用すると、安定的に高品質の作物を収穫できるようになります。
ここでは、ミニトマトについて書きましたが、すでにさまざまな作物での作業ができるように開発されています。
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